北村邸 四君子苑(しくんしえん)
内玄関を潜り薄暗い廊下を伝って、光が射し込む部屋に出る。
昭和38年(1963年)吉田五十八氏による増築「新座敷棟」主室、次の間、書斎。伝統的な数寄屋に現代の風を吹き込んだ近代的な数奇屋が、庭園と調和し旧棟と共存する。そこには吉田五十八氏の人間性が感じられる。
数寄屋(すきや)とは建築の様式ではなく「数寄」は「好き」の当て字であり風流・風雅の趣味的な美学的概念である。つまり「数寄屋」とは、「数寄者」の固有な芸術的要求を満たす建物を指す。
吉田五十八氏は、数寄屋の様式性ではない趣味的世界観に近代建築の可能性を求め、「明朗性」という言葉を基に身動きの取れない伝統様式を再解釈し無駄な物を整理、排除する。簡素化された空間に現代の生活と直結した新しい建築スタイル(吉田流)を提示し近代数寄屋を完成させた。その代表作が北村邸(四君子苑)である。
新座敷棟の空間には様々な意匠が仕組まれている。床の間の「落ち掛け」が繊細な線を描き緊張感を醸し出す。中央の柱は回転し隠された襖が現れる(押込戸)。天井照明の横幅は襖と同じ幅で空間に統一感を与える。主室と次の間を繋ぐ両義的な鴨居と襖。書斎の角柱は外され、室内と庭は一体となる。
全体的な構成より部屋の組合せや、インテリアの演出に重点を置いた吉田五十八氏の設計手法は様々な演出を造り出し、空間を風流・風雅なものに仕上げる。
数奇者である北村謹次郎の人格、趣味を建築として造り上げた吉田五十八氏は建築家であると同時に融通無碍な数奇者である。
吉田五十八(よしだいそや)1894 〜 1974
1894年東京生まれ。東京芸術大学卒業後(現東京芸術大学)卒業後、欧米に遊学。
1949年東京芸術大学教授に就任、1964年文化勲章受章。
由来 : 四君子(しくんし)とは、「菊・竹・梅・欄」の異称。頭文字の組み合わせにより「き・た・む・ら」と読めることから、四君子苑と名付けられた。
竣工:北村謹次郎が梶井宮本坊敷地の一角に「北村邸(四君子苑)」を建築。
設計 : 昭和19年(1944年)四君子苑「北村捨次郎」昭和38年(1963年)新座敷棟増築「吉田五十八」
様式 : 数寄屋建築、現代数奇屋建築
選定 : 文化庁登録有形文化財、京数奇屋名邸十撰
拝観 : 通常非公開(春・秋、定例公開)
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コメント
おお!今度は近代建築ですね。恥ずかしながら、これ知りませんでした。定例公開してるんですね。どの辺にあるんでしょう?私のブログでも考えてるんですが、地図とリンクさせたいなーって・・・なかなか難しくて。
アツマサさんのブログと「京都Walker」っていうブログで京都勉強中です。
投稿: buranii | 2005.05.30 22:21
アツマサさん、こんばんは!
北村邸、今公開されてるんですか?
私も見たいです!
北村捨次郎さんと吉田五十八さん、
それぞれの特徴が明確な建物と聞きました。
近代数奇屋という定義づけが実感としてわからなくって、
ここはぜひ訪れてみたい所なんです。
アツマサさんの写真見て文章読ませていただいたら、
もうなおさらですっ!(笑)
投稿: モヨコ | 2005.05.30 22:59
アツマサさん こんばんは〜(*^▽^*)ノ
右側のお写真を見て驚きました!
最初は『緑がきれいやなぁ〜♪ あの椅子にゆったり
腰かけて、こんなお庭を眺めてみたいなぁ…(^-^*)
なんでこんなに綺麗にお庭が見れるんやろぉ??』
と、眺めてたら・・なんとL字型に開けてるんですね?!
文中のこの部分↓ですよね??
『書斎の角柱は外され、室内と庭は一体となる。』
※すみません・・皆さんみたいに、アツマサさんと
通じるお話ができない私なので、コメント書くのも
ホントは申し訳ない気がしてます・・・(x_x;)シュン
投稿: mackey | 2005.05.31 04:56
buraniiさん>
こんにちは。北村邸(四君子苑)の場所は、上京区河原町今出川下ル東入ルです。「地図とリンク」それはいいですね。参考になりました。「Mapion」で検索してリンク張るようにしてみます。アドバイスありがとうございました^^
モヨコさん>
こんにちは。残念ながら春の定例公開は5月18日〜5月22日まででした。
次は、秋の定例公開です。日程は毎年誤差がありますので、わかり次第連絡しますよ。「近代数奇屋という定義」は確かに頭では理解しづらい所があります。
数寄屋の魅力は、伝統建築の一定ルールを継承していますが、あくまでも自由自在趣味的判断により造り出されるものですから、様式として捉えにくいところがあります。是非、目で見て体で体験して素敵な空間を感じて下さいね。
mackeyさん>
こんにちは。素敵だと思う空間には必ず仕組まれたデザインがあります。
その仕組まれたデザインに感動とトキメキを求め京都の建築巡りをしています。
このBlogは京都の素敵な空間を多くの人に楽しんでもらう事が「50%」自分の教科書作りが「50%」です。なかなか感じた空間の魅力をコラムにする事が苦手ですから、わかりづらくなってしまってすみません。これまでコラムなど書いた事が無かったので、文章としておかしい所も沢山あると思いますが日々勉強です。
これからも、なるべくわかりやすく素敵なコラムが書けるようにがんばります。
いろいろとアドバイスをもらえると参考になりますので、よろしくです。
投稿: アツマサ | 2005.05.31 13:40
アツマサさん!! (-_-;)(;-_-) チガウチガウ!
とんでもないです。(;^_^A アセアセ・・・
アツマサさんのBlogは、一目見るだけでもすごく魅力的だとわかるもので・・
コラムもアツマサさんがその場で見たもの、全身から感じとったものを大切にし、建築や歴史に関する知識を織り込んで、それらをとてもお上手にまとめてはるなぁ・・と、毎回感心しています。
左側の手書きのスケッチも見るたび、その場でじっくりと取り組んでおられるアツマサさんの姿が(もちろんどんな方かは知らないですが)目に浮かび、そういった時間を大切にされてるのってホントいいなぁ・・って思いながら、新記事がアップされるたび楽しませて頂いてます。
【 建築物 】・:*:・ ( ̄* ) ・:*:・
これからもどうかよろしくです <(_ _)>ぺこ
投稿: mackey | 2005.05.31 15:01
mackeyさん>
コメントありがとうございました。
現状に満足せず、スケッチ・写真・コラムをもっと魅力ある物にしていきたいと思います。こちらこそ、よろしくです^^
投稿: アツマサ | 2005.06.01 11:15
数寄屋を勉強したのは大学時代、大学院時代で吉田五十八さん、数寄屋など近代建築について教授は専門なのでかなり詳しいです(笑)しかも団長を勤めたとか。。。
投稿: archfusion | 2005.06.02 22:00
こんな書斎があればなぁ~
夢のまた夢でんな(笑)
投稿: 松風 | 2005.06.09 19:54
archfusionさん>
コメントありがとうございます。私は研究室で日本の古建築の空間構成について研究していました。吉田先生や堀口先生の事は最近勉強中です。まだまだ知識不足で理解出来ていないところも沢山ありますが、少しずつ勉強していきたいと思います。また機会があれば詳しくお話でも聞きたいです^^
松風さん>
こんばんは。確かにこのような書斎があればもっと素敵な時間を過ごせると思います。私ももっともっと勉強していつの日か素敵な空間を造り出せるように頑張ります(笑)
投稿: アツマサ | 2005.06.10 05:09